廃墟の石灰工場で聴覚の研究を続けていた男はなぜ妻を射殺したのかー。加害と被害、妄想と錯乱が反転しながら破滅へとつきすすむ戦慄の代表作。日本にベルンハルトを知らしめた伝説的長編、43年目に新訳。
静かな狂気が渦巻き、すべてが崩壊をあらわにする目眩く言葉の迷宮。推敲し、推敲し、推敲する。書くことによって故郷を乗り越えようとした男のおそるべき悲喜劇。