著者 : 馳月基矢
職場でトラブルを起こして仕事も居場所も失った深浦奈波(ふかうら・ななみ)は、しばらくの間、五島列島の祖母のもとで過ごすことになった。小学生の頃にも暮らしていた家だ。 過疎化が進む島で、奈波はどこか懐かしい少年に出会う。 「今日は何ばして遊ぶ?」 彼とともに過ごすうち、奈波は少しずつ小学校時代の出来事を思い出して……。 失われたものたちと再び出会う、ひと夏の不思議な体験。 すでに現実には存在しなくなったもの・ことの「化身」との対話が、疲れきっていた主人公を再起に導いてゆく。五島列島の架空の島を舞台にした、ローファンタジー×現代ドラマ。 【装画】tabi〈https://potofu.me/tabisumika〉 序 1 体育館ーー戻らない時、やつれ切った心 2 教会ーーそばかすを、ひとなで 3 渡海船ーー風を感じて、風になって 4 小学校ーー帰りたかった、この道を 5 コケオレ食堂ーーそれから、これから 終
ひとり出版社による新しい文芸誌、創刊! 総勢19名のクリエイターによる寄稿/対談のほか、496作品もの応募が集まった『第一回 あたらよ文学賞』の受賞作品を一挙掲載! 『夜』をテーマにそれぞれが珠玉の一遍を綴った、今を感じる渾身の文芸誌です。 参加クリエイター/作品 【装画】 出口えり『よるを見にいく』 【挿画】 サッサエリコ『夜がきた』 【対談】 馳月基矢『書いて、調べて、駆け抜けて。』 【創作】 梧桐彰『現の夜、夢の朝』 綾坂キョウ『とろけたクリーム』 百百百百『巡礼者たち』 輝井永澄『黒い鳥』 蒼山皆水『明日にのぞむ夜』 小谷杏子『この夜を焚べる』 【短歌】 岡本真帆『光源』 伊波真人『ナイト・バーズ』 中鶴水雲『夜を駆けない』 初谷むい『さっきまでの話』 青松輝『四季の歌』 【エッセイ】 カイシトモヤ『絵かきのリュカとまほうのつえ』 オレノグラフィティ『用水路』 齋藤明里『夜に読みたい夜のおはなし』 犬怪寅日子『匂いの夜』 【書評】 永田希『夜に読みたい三冊』 【第一回あたらよ文学賞・受賞者】 マルクス・ホセ・アウレリャノ・シノケス『うきうきキノコ帝国』 岩月すみか『こはねに勝てないなら死ぬ』 蛙鳴未明『ツー・ミッドナイト・ノブレス』 咲川音『私たちの月の家』 伊藤なむあひ『椿桃、永遠に』 辻内みさと『月が落ちてくる。』 山川陽実子『神と夜明け』 佐藤龍一クライマー『まゆどじょう』 右城穂薫『猫が飛んだ夜』 えきすときお『夜が冷たく忍びよる』
おイネの十徳 馳月基矢 長崎が生んだ作家 馳月基矢、 渾身の書き下ろし作品 シーボルトの娘イネの波乱に満ちた生涯を描く 三部作の第一作『おイネの十徳』は、12歳の 少女が自立の道に目覚める長崎での日常を描く <あらすじ> おイネは十二になった。 母おたきの再婚相手・和三郎が営む俵屋で 暮らしている。 そこへ旅装の男が現れた。高野長英である。 イネの父シーボルトの弟子であるこの男は、 長崎へ来た目的をイネに明かす。絵師川原慶賀を 探していると。 イネは長英に協力して慶賀を捜し始める。 隠れ家は西山の山奥にあった。ふたりは登与助 と名乗る男に会いに行く…。 <目次> 序 おイネ、二つ 第一話 九連環と旅の医者 第二話 鳴滝塾と思い出の人 第三話 出島絵師と墓参り 第四話 産科の医術と精霊流し 終 おイネ、十九 《著者プロフィール》 馳月基矢(はせつき もとや) 小説家。1985年長崎県五島市生まれ。長崎北陽台高校 から京都大学に進む。2020年『姉上は麗しの名医』(小学 館時代小説文庫)でデビューし、第9回日本歴史時代作家 協会賞・文庫書下ろし新人賞を受賞。『拙者、妹がおりまして』 シリーズ全10巻(双葉文庫)、『義妹にちょっかいは無用にて』 シリーズ(双葉文庫)などがある。 江戸を舞台とした青春群像劇に定評がある。 <目次> 序 おイネ、二つ 第一話 九連環と旅の医者 第二話 鳴滝塾と思い出の人 第三話 出島絵師と墓参り 第四話 産科の医術と精霊流し 終 おイネ、十九