著者 : 高井忍
学芸員志望の神戸静河が、ようやく就職できたのは地元の市立美術館の警備員。巡回などの通常業務をこなしつつ、何かあるたびに駆り出されては対処に当たるのがオシゴトだ。深夜の庭園で不審な男に遭遇したり、写楽の作だという可能性の浮世絵が出てきたり、失われた御神刀が展示が縁で発見されたり…。京都を舞台に、美術にまつわる謎と女子警備員の活躍を描く連作ミステリ。
遠山金四郎とシーボルトが源義経生存伝説に挑む!(「蒙古帝の碑」)琉球王国との交渉に訪琉したペリーが「琉米修好条約」の裏側を解き明かす!(表題作)東郷平八郎が、上田秋成が、曲亭馬琴が歴史の間隙に踏み込み、偽史・稗史の成り立ちを覗き見る。その先に、「伝説」に込められた民衆の願望と権力者が創った「正史」の思惑が浮かび上がる、歴史ミステリーの意欲的傑作!
「天下に小烏丸はただひと振り」藩主松平定信の一言から、白河藩の山本助十郎と絵師の林幹之助は、平家ゆかりの宝剣小烏丸の真贋吟味を命じられる。ふた振りある小烏丸のいずれが真刀なのかー。その後、定信が編纂する古宝物図録集『集古十種』に収録する刀剣の調査のため上方入りした2人は、粟田口則国の作刀が奉納された八幡宮で放火事件に遭遇するー。三条宗近、正宗など世に名高い名刀の消息を訪ねる2人旅が始まる。書き下ろし長編時代小説。
「ミステリーズ!新人賞」から、これまで数多くの才能が登場してきた。歴史ミステリの旗手と期待される高井忍。中華ミステリという異色の分野で活躍する秋梨惟喬。コミカルな読み味とトリックの切れが冴える滝田務雄。非凡な発想と構成で読み巧者も唸らせる沢村浩輔。大藪春彦賞受賞をはじめ、破格の評価を受ける梓崎優。新鋭五人の輝かしい出発点となった作品を一冊にして贈る。
扇ヶ谷姫之、朝比奈亜沙日、そして交換留学生アナスタシア・ベズグラヤ(通称:ナスチャ)は日本史好きの高校生。事あるごとに日本史談義を続け、ついには歴史雑誌『ジパング・ナビ!』の新説公募企画にそれぞれが投稿、入選と賞金を狙う。本能寺の変の真相、ヤマトタケルと剣の謎、大奥の秘密など、女子高生“歴女”三人組の魅力的な新解釈を、気鋭の著者が連作ミステリで贈る。
廻国修行をさらに続ける男装の武芸者・毛利玄達だが、どういう腐れ縁か、行く先々で剣豪と名高い柳生十兵衛と出くわすことに。この度も、将軍家剣術指南役・小野次郎右衛門の墓参に連れ立つことになった二人。下総で、次郎右衛門が同門の善鬼と一刀流の継承を争った決闘の真相ほか、剣豪にまつわる三つの謎。剣の謎解きにかけては右に出る者がない、柳生十兵衛の鮮やかな名推理。