小説むすび | 著者 : 高杉啓子

著者 : 高杉啓子

愛に怯えて愛に怯えて

夫を愛してしまう自分が怖い……。 社交界の誰もが知る、政略結婚なのに。 ギャビーはハンサムなスペイン系大富豪の夫ベネディクトと、 オーシャンビューの大邸宅で、誰もが羨む豪奢な生活を送っている。 しかし、ベネディクトがビジネス帝国を築くために政略結婚したことは、 上流階級の人々のあいだでは周知の事実だった。 どこか距離を置こうとする夫の心をつかみきれないギャビーは、 ベッドの上でしか愛されない悲しみを氷の仮面で隠してきた。 本当は彼を心から愛しているのに……私の役目は跡継ぎを産むことだけ。 あるとき、ギャビーの血のつながらない美貌の妹が町に帰ってきた。 姉を敵視する妹は不敵な笑みで告げたーーベネディクトを奪ってみせると。 その日から、ギャビーの嫉妬と不安に苛まれる日々が始まった! 名作家ヘレン・ビアンチンによる、最愛の大富豪との愛なき結婚生活に悩む若妻の物語をお届けします。妹の宣戦布告に対して「彼の愛人になりたいのね」とギャビーは言いますが、妹から、さも自信ありげに「彼の奥さんになりたいのよ」と返されてしまい……。

手紙手紙

たかが少女の恋。されど愛。 変わらぬ想いが、そこにあったーー 太陽のような笑顔と艶やかな黒髪をした、楽しく魅力的なフランコ。 18歳のジョアンは留学先のイタリアで出会った瞬間、恋に落ちた。 フランコが妹のようにしか見てくれなくても幸せだったーー ジョアンとよく似た年上のいとこ、ローズマリーが訪ねてくるまでは。 いとこの優雅で繊細な大人の女性の魅力に惹かれたフランコは、 ジョアンの目の前で、ローズマリーと結婚してしまったのだ。 あれから8年。久しぶりに再会したフランコは病で妻を失い、 あの頃とはまるで別人のように暗く沈んでいた。 いまだ彼への愛を秘めたジョアンは、張り裂けそうな心で思った。 いとこの身代わりでもいい。それで彼を癒やせるのなら……。 ヴァージンロードを歩く幸せなフランコとローズマリーの後ろで、切ない失恋の痛みに人知れず耐えたジョアン。もしも彼への恋心が十代の少女にありがちな一時的な熱狂であったなら、どれほど楽だったことか……。もどかしい恋を、故人の手紙が後押しする感動作。

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