著者 : 高橋克彦
事件の発端は青森県の板留温泉だった。ほとんど名も知られていない小さな温泉場だが、年に1度の「火流し」の日だけは見物客で賑わう。後醍醐天皇の霊を慰めるというこの祭りの日に、1人の若者が殺された。死体のあった場所は「火流し」が行われる中野川の河原だった…。南朝伝説の地隠岐、吉野、長野、青森を繋ぐ殺意の罠。事件の鍵を握る“幻の乾坤通宝”。乱歩賞作家の本格推理小説。
二束三文の津軽の山が密かに買収されたことを知ったTVディレクター九鬼虹人は、周辺取材をするうちに、なぜか買収地がすべて竜に因んだ神社や遺蹟の地に限られることに気づいた。“いったい竜とは何か?想像上の竜が世界各地に伝説として残り、西洋では悪魔、東洋では聖なる存在なのはなぜか?”それが恐るべき事件の発端となった。土地買収と竜の関連を追う九鬼を執拗に狙う男たち。そして姿を見せ始めたヴァチカンの存在…。
津軽での土地買収事件を発端に、九鬼は巨大な謀略に巻き込まれた。彼らローマ・ヴァチカン勢力は、なぜ伝説の“竜の存在と意味”を追求する九鬼を狙うのか?竜と彼らの関係は?新たな謎を追って九鬼は一路、インド、パキスタン、イラク、トルコの調査行に旅立った。だが、仲間は次々と敵の凶弾に倒れ、九鬼は最後の調査地・トルコのアララト山へ。目指すは山頂に眠る伝説のノアの方舟。これこそ文明史を根底から覆す“竜の柩”か…。
青森県新郷村。キリスト伝説の地で、男が十字架に首を吊った。同行の美少年は、謎の言葉を残して闇に消える。さらに京都、香川と怨霊伝説の里で怪事件が続発し、美少年の姿が見え隠れする。彼に取り憑いたのは崇徳院の怨霊か?そしてソロモンの秘密は四国に眠るのか?興奮と戦慄の書下ろし歴史ホラー!
歌麿にアリバイがない!写楽が活躍した11ヵ月間、歌麿はどこで何をしていたのか?なぜ作品を発表しなかったのか?やはり歌麿が写楽だったのか…。世界一の美人画絵師をめぐる現代の罠と、歴史の謎に挑む塔馬双太郎の冴えわたる頭脳。大きな仕掛けでまたも読者を唸らせる高橋ミステリーの最高傑作。