小説むすび | 著者 : 高瀬素子

著者 : 高瀬素子

夜に沈む道夜に沈む道

コンサートからの帰路、大学教授のイーサンはコネティカットの田舎道にある寂れたガソリン・スタンドに車を停めた。トイレを借りるため、娘は妻とともにスタンド内へ消えていく。一方、息子は車を出て、道へ歩み始めた。その瞬間、カーブを曲がってきた車が息子を襲った。氷が砕けるような音を響かせ、息子は宙へ飛ぶ。そして、路上に打ちつけられた息子の死体が、夜の道に残された。弁護士のドワイトは運転している車のスピードをあげた。助手席には、野球観戦で疲れた息子が眠っている。離婚した妻のもとへ息子を送り届ける途中、門限に間に合わせるため、近道へとハンドルをきった。カーブが終わったその瞬間、目の前に少年の姿が…。鈍い衝撃を感じながら、ドワイトはそのまま車を疾駆させた。夜に沈む道を。息子を轢き殺されたイーサンは、憎むべき犯人を追い始める。罪悪感に苛まれるドワイトは、窮地に追い込まれていく。事故がひきがねとなり、双方の家族は崩壊し、二人は平穏な日常から悲劇が待つ亀裂へ堕ちていく。やがて、互いの運命が交錯する時、物語は終局に向けて加速する。人間心理を深く抉り、全米各書評紙誌に絶賛された出色のスリラー。

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