著者 : 高田ゆう
愛を知らない侯爵愛を知らない侯爵
司祭だった父が急死し、19歳のマリアンと一家の生活は困窮していた。周囲に立派な結婚相手を探してやると言われても気後れしてしまうのは、プライドの塊のような高慢な貴族たちを嫌っているから。たとえ爵位や財産がなくとも、彼女の両親のように、心から愛し愛される関係でいられる人との出逢いを夢見ているのだ。そんなある日、マリアンは体調を崩した大叔母を見舞うため遠くの地へ向かう途中、こちらを熱く見つめる青い瞳の男にでくわした。不躾な視線に怒りを感じてもいいはずなのに、なぜか体の奥が疼く。この気持ちは何…?戸惑うマリアンは知る由もなかったーよもや彼が11代目マールベック侯爵ドルーで、跡継ぎを産む従順な妻を求める、愛を知らない男だということなど。大叔母を気遣ってしばらく滞在することになった地で、マリアンは吸い込まれそうなほど深く美しい瞳のドルーと偶然再会。彼女の人生で初めて芽生えた恋心はさらに膨らむが…。社交界の貴婦人に退屈していた侯爵は、彼女をどう見るのか?
過去をなくした花嫁過去をなくした花嫁
フランスに住むイングランド貴族出身のステファンは、海を漂流する瀕死の若い娘を見つけた。懸命な看護で意識を取り戻した彼女はしかし、記憶をすべて失っていた。その娘を“アン”と名づけて居城に置くことにしたが、時に厳しく時に優しく接するステファンに、アンは恋心を抱き始めた。ゆえあって愛を自制する彼はその想いに気づき、冷たくあしらった。「わたしが品性の劣った男なら、きみを愛人にするところだ」けれど彼の禁欲的なふるまいとは裏腹に、二人の間に噂がたち、アンの名誉のため、ステファンはやむをえず求婚する。ところが、結婚を間近に控えたある夜、彼女は忽然と姿を消し…。
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