著者 : 高田侑
雨の向こう側雨の向こう側
雨は、哀しい過去を思い出させる。甘く苦しい抱擁をー娘を一人で育てながらメッキ会社で働く29歳の美尋は、突然、次期社長に結婚を申し込まれる。娘のためと申し出を受ける美尋。だがその矢先、かつて愛した男性が現れる。11年前、二人は許されぬ関係と知りながら結ばれた。再会に心乱れ、距離をとる美尋。しかし、彼女の同僚の死が、二人の運命を再び熱く深く結びつけてゆき…慈雨のように純粋だった恋と愛の行方。
フェイバリットフェイバリット
保育士を辞めてしまった29歳の由真の遊び友達は、フリーカメラマンのハツモ。はっきりいってイケてない。でも一緒にいると心が騒ぎ、女だてらに「すげえ!」と叫びたくなることに出会う。牛の撮影会、大声コンテスト、独りオペラの男…。お金も仕事もないけれど、ゆるくて確かな関係と笑いのジャブが、こころのコリをほぐす長編小説。
うなぎ鬼うなぎ鬼
取り立て屋とデリヘルの運転手をしている倉見勝。社長の千脇の“金銭哲学”に心酔している勝に、新たに命じられた「仕事」とは…。「東京近郊に『黒牟』という街がある。そこにコンテナを運べ。一往復で十五万だ。小学生にだってできることだ」鬼か人か。疑念と恐怖に心が蝕まれていく!入り組んだ路地、運び込まれる冷凍の箱、饐えた臭い、黒い顔。表情のない男たちが蠢き、うなぎが群れるー超弩級の暗黒ミステリー。
PREV1NEXT