著者 : 高貫布士
中国首脳部は、尖閣沖に続いてトンキン湾でも日本の海上国防軍に屈したため、海洋制覇をいったん中断し、紅軍の主力である陸軍の意向に沿って、戦略目標をロシアの沿海州とシベリア方面に変更した。そして、これに先立って、韓国と北朝鮮を統一させたうえで併合し、その戦力をもって沿海州に侵攻させる。一方、ロシアのプーチン大統領は、露朝国境付近に展開している兵力が最大時の半分以下に激減しているために、ウラジオストックの防衛は困難と判断し、日米両軍に出動を要請する。ウラジオストックをめぐる攻防の行方はいかに!?
西沙諸島に続き南沙諸島の領有を画策する覇権主義国家・中国の最終的な狙いは海底資源にあった。その野望阻止のため、日本政府は除籍した海上自衛隊の護衛艦にミサイルをはじめ、米軍仕様の機材で近代化した9隻のフリゲート艦をベトナム、フィリピン、インドネシアに貸与した。このASEAN連合艦隊に対し、各個撃破を企む中南海指導部は、まずベトナムを叩くべく、トンキン湾に高速ミサイル艇30隻を侵入させる。だが、米国海軍の戦術情報ネットにより、事態を知った連合艦隊の指揮官・山口大佐は、艦載ヘリのASM(空対艦ミサイル)で邀撃、これを殱滅する。そしてロシア、タイ、インドを加え対中包囲網を成し、中国南海艦隊に最終決戦を臨む!!
中国は相変わらずの膨張主義によって、武力で東シナ海のみならず南シナ海をも内海とし、そこに埋蔵されている石油などの海底資源の独占化を目論んでいた。その野望を粉砕すべく日米は中国の脅威に曝されているフィリピン、ベトナム、インドネシアなどのASEAN諸国に軍事的な梃入れを決断した。日本は海上自衛隊の退役艦・練習艦隊の護衛艦に加え、対潜ヘリや哨戒機に米軍仕様の各種ミサイルとその発射・誘導装置を搭載させ、その運用のためにASEAN各国の兵士たちを自衛隊で研修、実践の訓練をする。“武器輸出三原則”の制限がある日本は、それらの艦船をASEAN諸国に貸与するという秘策で“対中包囲網”構想の実現を果たすことはできるのか!?
第八駆逐隊の駆逐艦四隻と共に、バリ島上陸作戦を敢行する今村支隊が乗った二隻の輸送船を護衛する特命哨戒艇四七号は無線・通信機器の性能向上を図った情報収集船でもあった。その通信室で敵機の音声通話を傍受して空襲を察知、八駆隊に警告し海上に煙幕を張り緊迫のサマール泊地を脱出する。だが、その先ではドルーマン少将率いる連合国艦隊(軽巡3、駆逐艦7)が護衛船団を待ち受けていた。これまでの連合国の通信情勢などを分析していた特命哨戒艇長・山口少佐は、この作戦を看破し、「近海を遊弋している帝國艦隊が救援のためバリ島方面へ急行」との偽情報を敵・味方の周波数帯を使って流した。戦力劣勢の日本は、絶対優勢の連合国艦隊を撃滅することができるのか!?-。
尖閣諸島近海で中国海洋局の漁業監視船と海上自衛隊の哨戒艇が武力衝突した。これは環太平洋全体の自国経済圏化を狙った中国の覇権主義の第一歩で、続いて沖縄、台湾の制圧を目論んでいた。国家主席の習近平は、大陸沿岸に中距離弾道弾を配備させる。一方、米国のNSA(国家安全保障局)は軍事衛星を使い中国の動きを日本側に通報し、日米両国はミサイルによる邀撃作戦を展開することになるが…。
2015年、急死した国王の後継者指名をめぐって、サウジアラビアで騒乱が起こった。再び緊迫する中東情勢。イラクに駐留していたアメリカ軍と自衛隊が鎮圧に乗り出したが、各国を巻き込んで戦火は広がってゆく。困惑する日本政府は-。中東の戦火は消えず!イラクに派遣された自衛隊の10年後を予想する、衝撃と興奮の近未来国際情報小説。
ロシアのプーチン大統領とアメリカのアーミテージ国務副長官がモスクワ郊外で密談している映像を、国際衛星放送局SNNがスクープ配信した。両国政府は否定したが、日本、韓国、中国を巻き込んで、北朝鮮情勢が急変してゆく。金正日体制の運命は-。
「仮にこの決戦で太平洋艦隊の戦艦群が大損害を受けても、連合艦隊の主力を相打ちで倒せば、国力に勝る米国側に勝算がある」キンメル司令長官の自信は、依然揺らぐことはなかった。一方、連合艦隊を率いる古賀峯一の小笠原沖で一大決戦に臨む決意は、キンメルと同様だった。ただし、古賀はキンメルが予想もしない奇策を多数用意し、艦隊決戦前に仕掛ける腹づもりだった。その第一弾、水上機母艦が米太平洋艦隊の針路上に遊弋する…。その頃、小沢治三郎率いる第一航空艦隊は、遠く離れたハワイ沖にあった。黎明時、艦戦・艦爆・艦攻からなる淵田美津雄が指揮する第一次攻撃隊が、オアフ島パールハーバー軍港へ向け飛び立つ…。日米両国の戦艦が真正面から戦いを挑む大海戦-壮絶なるクライマックス。
開戦から三カ月、キンメル司令長官率いる米太平洋艦隊と連合艦隊が、マリアナ沖で激突した。両軍は消耗戦を強いられ、結局、南洋諸島海域では、依然として帝国海軍が戦略的優位を維持することができた。その頃、日本では海軍から陸軍に対し、フィリピンの早期占領の要望が出された。しかし、マッカーサー率いる米軍守備隊が立て籠るコレヒドール島は難攻不落の要塞だった…。一方、太平洋では、小笠原諸島の硫黄島を地下要塞と化す大規模な土木工事が着々と進行していた。南洋諸島と日本全土を結ぶ空路上にあるこの島が、次なる決戦の舞台だった。米空母を飛び立った攻撃隊を発見。硫黄島に空襲警報が鳴り響く。
1942年8月15日、日米両国はついに交戦状態に突入した。開戦と同時に、フィリピンのマッカーサーは台湾への戦略爆撃を敢行する。しかし、日本軍の反撃で甚大なる被害を受ける。逆に日本軍は、空母航空隊による比島南部一帯への連続空襲に成功。マッカーサーをコレヒドール島に追いつめた…。開戦から3カ月、キンメル司令長官率いる米太平洋艦隊と連合艦隊の決戦の時が刻一刻と近づいていた。独立作戦行動を許可された猛将ハルゼーが、空母部隊を率いて南洋諸島に布陣した日本軍部隊を引っかき回す作戦に出た。迎え撃つ海軍航空隊と戦火を交えている、その頃、キンメルは小笠原諸島攻略を最優先する決断を下した。
強気の経済政策が破綻したルーズベルト大統領は、早期に対日戦争を勃発させることを決意した。マニラの太平洋軍総司令官マッカーサー陸軍大将にメッセージが届く。その内容に「ルーズベルトの捨て駒にはならん」とマッカーサーは呟く…。上海在留の米国人が連続して殺害された。犯人は日本人だとの噂が広がる。これは、対日感情を悪化させるための米情報組織による秘密工作だった。さらに大統領は、日本海軍を挑発するため、軽巡と二隻の駆逐艦の上海周辺への派遣を決める。一方、ドイツ空軍中国派遣部隊にとって目障りなのは、中国沿岸部に出没する日本帝国海軍の空母部隊だった。そこに、日本海軍の輸送部隊が接近との極秘情報が入る。迎え撃つべく攻撃隊が飛び立った…。大好評の本格シミュレーション戦記第2巻。
一機のユンカース旅客機が悪天候のベルリン郊外で連絡を絶つ。数日後、山地に激突した事故機が発見された。この旅客機には匿名で二人の重要人物が乗っていた。一人は、ナチス党の重要人物で外務省顧問のリッペントロップ。もう一人は、駐独日本大使館の駐在武官大島陸軍大佐。二人は日独協定の両国の直接担当者だった。その推進役が消えた…結果、ドイツ外交は独中協調路線を取る。それを見たソ連も中ソ友好協定を結び、ここに中国大陸における独ソ中三国の対日包囲網が完成した。そして日本帝国政府は、再び日英同盟の道を模索し始める…。シミュレーション戦記に新たなる地平を拓く、新シリーズ開幕。
対ソ戦の出撃拠点として中東欧諸国の背後に兵站補給基地を計画した日米両国はドイツに残っている軍需工場の再生を急ぐ…。狙い通りスターリンはトルーマンの和平提案を蹴った。ここにソ連への攻撃が開始された。連合国軍第1空挺軍所属の6個空挺師団がバルト三国に飛びたった。そしてエストニアの首都・タリンには本間第9軍の第1師団と第5戦車旅団が、本隊の第9師団と第10師団はラトビアのリガに上陸を敢行した。連合国軍150個師団に及ぶソ連侵攻作戦の大展開。
ドイツ国境地帯への進撃を準備していた連合国軍の前戦に、ドイツ装甲軍が大攻勢をかけた。アルデンヌを突破し、ミューズ河を渡り、ブリュッセルを抜いてアントワープ陥落を目指すヒットラーの起死回生の電撃作戦である。アルデンヌに展開しているのはホッジス米第1軍麾下の百武第17軍だった。ドイツ軍の猛攻を凌ぎ、補給路が伸びきったところで、百武第17軍は反撃に出た。ジークフリート・ラインを突破してルーデンドルフ橋を確保し、ラインを渡河して快進撃が続く…。
米英対独の両軍が死闘を続けるノルマンディー近郊のカーン。ここを突破すればパリへは一本道である。連合国軍第21軍集団司令官モントゴメリーは、デンプシー中将の英第2軍に加え第51ハイランド歩兵師団と第4機甲師団、それと英第6空挺師団まで投入するが、攻略できなかった。米第3軍傘下の山下第25軍は、そのカーンに向けて自由フランス軍のクレール中将率いる第2機甲師団と共に、共同作戦を展開する…。日本軍のM4シャーマン対ドイツ・タイガーの死闘。
連合国軍のシチリア上陸作戦は武蔵を旗艦とする第1艦隊を含む連合国艦艇の艦砲射撃から始まった。東海岸正面をモントゴメリー中将指揮の英第8軍が、それを支援する形でパットン中将指揮する米第7軍が中央部を担当し、山下中将指揮する第25軍は島の西部から山岳地域にかけてイタリア軍守備隊を撃破しながら、北部海岸の要衝パレルモを目指す。パレルモで米第7軍と合流した山下第25軍は、ドイツ軍中心の枢軸軍に苦戦している英第8軍を救援すべく、マレー戦で経験のある海上機動作戦を展開して…。
ハワイを目前にして、超大型台風のため、針路を南西に転じた南雲艦隊。だがそこはキンメル大将率いる太平洋艦隊の演習海域だった。この日米の遭遇戦により、両艦隊合せて空母7、戦艦10、重巡10を失った結果、共に、すぐには次の作戦は起こせなくなった。このタイミングを見計って、英国の首相・チャーチルは、講和を提唱する。独ソ両軍の中東への南下作戦阻止に、連合国側に組込んだ日本軍を利用するつもりなのだ。かくて本間中将率いる第9軍と、伊藤中将率いる大和、武蔵を中心とした第1艦隊は中東を目ざした。