著者 : 鴻上尚史
ふと、休憩のためにつけたテレビ画面から流れたヘルメットをかぶった彼女。その映像は60年代後半の学生運動のいち場面。それから30年以上もたっていた。同じ大学の、10歳ほど年上だ。僕は彼女にあいたいと思った。あの熱狂、あの悲惨、あの戦いはなんだったのか?僕はずっと知りたかった。鴻上尚史の初小説作品(2006年・集英社刊)を復刻。
少年時代を過ごし、父母を見送った愛媛県新居浜市の家、劇団「第三舞台」を立ち上げた早稲田大学・大隈講堂裏。かけがえのない“場所”を通して人生の物語を描く。初の自伝小説集!
諏訪祐太、小さなPR会社で働いている29歳。今は恋愛より仕事に時間を使い、成功したい。沖村嘉治、諏訪の会社の上司。43歳。仕事はあまりやる気がない。幸せになりたい。平澤遥香、アイドルになりたいと事務所に所属して頑張っているが、なかなか芽が出ない。小早川汀、ホテルのラウンジでピアノを弾くピアニスト。マッチングアプリで恋人を作ろうとするが。それぞれの「秘密」が呼ぶ波乱。運命の相手とは出会えるか。あたし達はどうしたらいいんだろう。ぶつかりあう4人の混線ラブストーリー人気舞台、待望の小説版!
命の終わりは自分で決めるものじゃない。 人生に絶望した孤独な少年が出会ったのは、「不死身の特攻兵」と呼ばれた人だった。 過去と今と、「生きること」をめぐる奇跡の物語。 青空の下、中学二年の萩原友人は、屋上から飛ぶことを考えたいた。死んでしまえば、いじめは終わるーー。そんな時出会ったのは、太平洋戦争時、特攻隊に選ばれ9回も出撃しながら生還したという人、佐々木友次だった。 「死ぬのが当然という状況で、どうして“生きよう”と思い続けられたんだろう」 佐々木が所属した陸軍万朶隊の物語、そして佐々木自身の言葉を前に、友人の傷ついた心は少しずつ前を向きはじめるが……。 時代を超えて「生きる」とは何かを問う、心揺さぶる感動の一作。 小説版『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』
イギリスでの俳優教育の基本、技術を学ぶためのロンドンの演劇学校に留学した三十九歳の鴻上氏。準備は万全、のはずだったが、そこは想像を超える“英語の戦場”だった!日本では名の知れた演出家で作家の著者が、英語の聞き取りに苦戦しながら、ぴちぴち黒タイツを身につけ鬼ごっこをしたり動物の真似をしたり。時折演出家の視点が覗くも生徒に徹し、イギリス流ワークショップに取り組む姿がユーモラスな文体で綴られる。俳優志望者だけでなくすべての人の人生に有益な、泣き笑い奮闘記。文庫化にあたり、装画を担当した役者で芸人の片桐仁氏との特別対談も収録。
終わらないいじめ。理解されない苦しみ。人生に絶望し、自殺を考える少年・萩原友人。彼が出会ったのは、太平洋戦争時、9回にも及ぶ特攻から生還を果たした佐々木友次さんだった。「どうして、そんなに苦しい状況で、“生きよう”と思い続けられたんだろう」佐々木が所属した万朶隊の物語、そして佐々木自身の言葉を前に、友人の傷ついた心は少しづつ前を向き始めるが……。 2015年10月。中学2年生の萩原友人は、伯母の住む札幌を訪れる。それはいじめられる日々からの束の間の逃避であった。友人はひょんなことから伯母の勤務する病院に神風特攻隊の有名人・佐々木友次が入院していることを知る。 いじめの苦しさから逃れるため、自殺を試みるも思いとどまった友人は、伯母の勤める病院に向かい、佐々木の病室を見つける。佐々木は9回特攻に出撃し、9回とも生還したのだという。特攻隊と佐々木に関心を持った友人は、古本屋で『陸軍特別攻撃隊』を手にする。そこに書かれていたのは、敵艦への体当たりという任務を負った万朶隊の物語であった。
『八月の犬』。それは京都の『大文字』焼きに「丶」を足し『犬文字』にする極秘作戦。1982年、戌年の夏、6人の大学生は青春の熱狂を計画にぶつけた。しかし実行直前、山室の恋心が悲劇を呼ぶ。消えたかに見えた友情と『八月の犬』。しかし24年後、再会した病床の親友は、仲間の再結集と計画の完遂を山室に託した。