占領下のパリを彷徨し,己の出自への激しい否定の感情と共に歴史の黄昏を生の根本感情として内面化し,「形而上の流謫者」,「世界市民」としての新たな出発を記す。
躍動するバロックの文体でみずからのエクスタシー = 神秘体験を語り,絶対的融合の宇宙として超越の言語を創出する若きシオランの思想的営為の全容を示す初期作品。