著者 : yoco
父親の罪を背負い、身を粉にして働く狐獣人のコガネは、ある時、目の見えない猫獣人の子供を助けた。身寄りがなく記憶喪失の黒猫を「クロ」と名付け、コガネはクロを大切に育てる。クロは賢く美しい少年で、コガネはクロを学校に入学させるため目の手術を受けさせようとする。だが手術費用はあまりにも膨大だった。絶望するコガネに、医師スオウはある取引を持ちかける。たとえどのような犠牲を払ってもクロのためなら何でもしたいと願うコガネは取引に応じ、クロを王都の学校へと送り出す。離れ離れになって数年後、クロが貴族の落胤だと判明し…?
キットとパーシーによる強盗計画が失敗に終わったその夜。夫を銃で撃った公爵夫人ーマリアン・ヘイズは、今の自分が唯一頼ることのできる相手であり自分を脅迫してきた張本人でもある赤毛の男ーロブ・ブルックスを連れ、ロンドンをあとにする。脅迫する者とされる者。いびつな形で始まった関係だったが、旅をするうちに二人は少しずつ心を交わしていく。しかしマリアンには、異性と関係を持つことにある懸念があり…。
かつてイングランドを股にかける大強盗として名を馳せていたキット・ウェブ。現在はコーヒーハウスの店主として平凡な日々を過ごすキットのもとに、ある日、パーシーと名乗る美しい紳士が訪ねてくる。「仕事を依頼したい」退屈な毎日に突如舞い込んだ強盗計画。待ち望んでいたスリルと平和な日常との間で葛藤するキットに、幾度となく誘惑を繰り返すパーシー。逢瀬を重ねるうち、二人は互いに惹かれ始め…。
竜族の最後の生き残りルートヴィヒは、いつか人間の伴侶を持ち、平和に生きることを夢見ながら、ガーネ山の洞窟で両親の残した宝石を糧に身を隠すように暮らしていた。宝石の守り神であり、体液がすべて宝石になる神秘の存在としてガーネリア国の信仰の体象だった竜族は、いつしかその神聖性を失い、大きな戦争を機に、危険で滅ぶべき存在と思われるようになっていたからだ。ところが絶対に人間知られるはずがない神聖な棲み処に、ある日見知らぬ男が現れる。警戒心をもたないルートヴィヒは、ひと目で彼を好きになるが、その男・エリックは対照的に、自分の家族を奪った竜族を憎んでいると言い放ちー。孤独で無垢な竜・ルートヴィヒの一途な恋の行方は!?
江戸の面影が残る路地の街“神楽坂”。母との苦い思い出から花の苦手な大学生・木下待雪は、花屋を営む美人店長の一之瀬薊から自分の名前を「誕生花から名付けられたんだね」と優しく語られたことがきっかけで、花屋のアルバイトをすることに。並大抵ではない植物の知識を持つ薊のもとで待雪は、花にまつわる不思議な事件と自分の抱える秘密に向き合うことになるがー。花卉業界への入念な取材と確かな筆致で書き綴る、心揺さぶる感動ミステリー!