「思わず彼は拾い上げた桜の実を嗅いでみて、おとぎ話の情調を味わった。それを若い日の幸福のしるしというふうに想像してみた」-。藤村(1872-1943)の文学への情熱、教え子へのかなわぬ恋を投影した青春の自画像。同じく自伝的小説である『春』『新生』の、少年期から青年期を描く。改版。 2018/02/19 発売