時間
殺、掠、姦ー一九三七年、南京を占領した日本軍は暴虐のかぎりを尽した。破壊された家屋、横行する掠奪と凌辱、積み重なる屍体の山。この人倫の崩壊した時間のなかで人は何を考え、何をなすことができるのか。南京事件を中国人知識人の視点から手記のかたちで語り、歴史と人間存在の本質を問うた戦後文学の金字塔。
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昭和20年8月16日。上海からの1隻のオンボロ機帆船が、4名の日本軍特務員を乗せて、東シナ海に浮かぶ孤島・江〓島に向った。終戦を知らぬ守備隊千余名を全滅から守るためである。荒れ狂う海、刻々と迫るタイムリミット、乗員にまぎこんだ見えざる敵側工作員。東シナ海を男たちの男で染める死闘。プロ対プロが容赦なく対決する戦争冒険小説の傑作。 1988/01/01 発売
時間時間
或る日突然変貌し、異常なまでに猛烈に働き出す男(「聖産業週間」)。会社を欠勤し自宅の庭の地中深く穴を掘り始める男(「穴と空」)。企業の枠を越え、生甲斐を見出そうとする男(「時間」)。高度成長時代に抗して、労働とは何かを問い失われてゆく〈生〉の手応を切実に希求する第一創作集。著者の校訂を経て「花を我等に」「赤い樹木」を加えた新版・六篇。芸術選奨新人賞受賞。 1990/01/01 発売