国も命もゆっくりと確実に朽ちていく中、 葉月夫妻が終のすみかとして選んだのは死さえも漂白し無機質化する不気味な施設だった……原発社会のその後を描く戦慄の書、緊急復刊!
環境破壊と貧窮のうちにゆっくりと滅びつつある近未来の日本。老夫婦が辿りついた理想の“終の棲家”とは(表題作)。現在・過去・未来にわたり、すべての生きとし生けるものに等しくやってくる終末の風景を、時に叙情的に、時に黒い笑いを交えて直木賞作家は描き出す。もしかしたらそれは、明日のあなたのことかもしれないー甘美な破滅と残酷な救済が織りなす、8つのものがたり。 2007/03/24 発売