あいつぐ大震災と戦火で、恋も家族も未来も、すべてをうしない鉄路を彷徨う男。ただ欲しいものは、あの青いものすごいクスリ。哄笑、恐怖、愛、虚無…が卍ともえにからみあう、現代黙示小説の大傑作。
ある夜、青年ハインリヒの夢にあらわれた青い花。その花弁の中に愛らしい少女の顔をかいま見た時から、彼はやみがたい憧れにとらえられて旅に出る。それは彼が詩人としての自己にめざめてゆく内面の旅でもあった。無限なるものへの憧憬を〈青い花〉に託して描いたドイツ・ロマン派の詩人ノヴァーリス(1772-1802)の小説。 1989/08/16 発売