庶民詩人ハーンは、日本の珍書奇籍をあさって、陰惨な幽霊物語に新しい生命を注入した。盲目の一琵琶法師のいたましいエピソードを浮き彫りにした絶品『耳なし芳一のはなし』等、芸術味豊かな四十二編。
日本を深く愛しつづけたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。1890年に来日以来、日本の物語や民間信仰、風習等を通して、西洋至上主義に捉われることなく日本を理解しようと務め、数多くの秀れた作品を残した。本巻は八雲の作品の中でも「耳なし芳一」「轆轤首」「雪女」等、一般に親しまれている怪談・奇談42篇を、気鋭のハーン研究者達の新訳で収録。さらに巻末にこれらの原拠30篇も翻刻した。 1990/06/01 発売