広報室沈黙す(上)
東京・新宿にある損保界名門の世紀火災海上保険は、大揺れに揺れていた。経済誌『中央経済』に、1年も前の大蔵省監査に絡んで、社内の恥部がデカデカと掲載されたのだ。「こんな記事を書かせていいのか」「なんのための広報課だ」-上層部からの理不尽な圧力に、広報課長木戸徹太郎の悩みは深まる。
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広報室沈黙す(下)広報室沈黙す(下)
権力に執着しつづける会長、その会長に追従するしか能のない、そのくせ会長を煙たがっている社長、その社長を無視して独断専行に走る常務、面子を潰された復讐心も手伝って、異常なまでにシビアな監査を行う大蔵省ー。どこか何かが狂っている企業の中で問われるミドルのビヘイビアを鮮烈に描く問題作! 1987/12/01 発売