相思青花(上)
不思議な物語は、イスタンブールのトプカピ・サライ博物館から始った。中国陶磁器の前に佇む奈美に、端正な紳士が話しかけてきたのである。夫の急死から立ち直ろうと、実家に伝わる青花(染付)の謎を追う奈美に、その男林輝南は、清朝末期の青花にまつわる愛の秘話を教え、2人は調査を進めてゆく。
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一対の壷と皿を発端に、瓶、大陶板と発見されてゆく一連の青い波涛模様の焼物は何?大戦のさなか、日中両国に激しく生きた男女の愛の物語を綯いまぜにして、奈美と林輝南の前に明らかになってきた美しい磁器との縁。民族の叙事詩を背景に、人間の運命を世界的なスケールで描く、感動の大河小説。 1990/02/01 発売