うわべは優雅な村人であった亡父の形見の六連発の拳銃。母の心臓に、雷に打たれたようにある六つの小さい深い穴。さりげない筆致と深く暖かな語りのうちに、生きていることの根に、静かな声援をおくる三浦哲郎の鮮やかな短篇連作の世界。野間文芸賞受賞。