鳴門秘帖(二)
冷厳な隠密の掟ゆえに、お千絵と弥之丞の恋は許されようもない。といって、お千絵に執拗につきまとう旅川周馬の邪恋は迷惑至極。弦之丞も家を捨て恋を捨て、一管の竹に漂泊の旅を重ねるが、お千絵への思いはきっぱり絶っているだろうか。その弦之丞に隠密の命令が下る。阿波二十五万石の存立にかかわる大仕事が!無論、阿波藩士が手を拱いて待っている訳がない。弦之丞を取巻く蜘蛛手の網。講談社創業80周年記念出版。
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他国者は容易に近づけない、密国阿波に潜入した幕府隠密・甲賀の宗家、世阿弥が消息を絶って10年。家名の断絶を目前にして、悲嘆にくれる娘のお千絵を見かねて、二人の男が阿波渡海をはかった。だが夜魔昼魔、お十夜孫兵衛、見返りお綱が二人の邪魔に入る。講談社創業80周年記念出版。 1989/09/04 発売