怪異、浪漫、耽美、日本文学史に輝く鏡花の生涯を、芸妓・桃太郎との家庭生活を通して描く書下ろし力作。
神楽坂の芸者桃太郎との出会いは、新進作家泉鏡花の前途に大きな影響を与えた。絶対的権力をもつ師の尾崎紅葉がこの恋に猛反対した件は、のちに「婦系図」のお蔦と主税に投影される。だが桃太郎は結局鏡花の妻となり、苦難の鏡花を側面から支え続けた。耽美小説の祖泉鏡花の原点と生涯を精密に描く評伝。 1994/09/15 発売