女の体に訪れたかすかな老いを抱え、未知の世界へ歩み入るささやかで重い漂泊の旅。書下ろし長篇小説。
「切られた縁を元に戻してほしい」-。縁切り寺の御用宿「橘屋」に駆け込んだ上総の女おふきは、そう訴えた。珍しい駆け込みに戸惑う用心棒の十四郎と主のお登勢。十四郎が、離縁した元亭主に会って話を聞いてみると、背後に上総の幕領を巡る事件の影がちらつく。上総へ渡った十四郎が掴んだ恐るべき「真実」とはー。壮大な物語を描いた著者の代表シリーズ第十六弾。 2017/08/08 発売