密約
仕事中でも、つい居眠りをしてしまう奇病をもつ藤木紋蔵は、鬢に白いものが混ざり始めた中年の同心。十五の歳に、南町奉行所に見習い採用されておよそ三十年が経つ。奇病のため外に出すと世間に恥をさらす、というので内勤の例繰方に配属された。俸禄は三十三俵二人扶持。家族は妻の里に紋太郎、紋次郎、稲、麦、妙の二男三女。生活は大変で、表通りに面した地面を人に貸し、さらに夫婦揃って内職に精をだしている。紋太郎を婿養子にやり、稲を嫁に出したので、家族は五人になった。紋蔵はこの奇病ゆえに、人生の真実が見え、「窓際族」ながら様々な事件に関わり、解決していく。