小説むすび | 臨安水滸伝

臨安水滸伝

臨安水滸伝

出版社

講談社

発売日

1999年5月20日 発売

逃げる猫と岳飛軍の遺児の運命は?胸のすく痛快武侠活劇の秀作。桂花かおる港市、臨安(杭州)の二貴公子。巨魁秦檜に挑む!臨安は刺激の強い街だった。白日賊といわれる詐欺や盗賊が常に横行して、扇情的な話題には事欠かなかった。「猫を、外へ出すんじゃないよ。絶対に、出すんじゃないよ」その老人は、毎朝家を出る時に、かならず奥に向かってそう念をおした。杭州が臨安と呼ばれるようになってしばらくたつが、住宅事情は悪くなるばかりで、その日暮しの庶民が城内に一軒家を持つなど、夢のまた夢。その老人も数階建ての家の一階の一部を借り、妻とふたりで暮していた。最初、同居人たちはその女を、老人の娘だと思っていた。それほど年齢が離れていたのだが、狭い家の内のこと、ふたりの会話は自然にはいってくる。女が北から避難してくる途中、家族と生き別れ、老人に救われて妻になったということまで、ひと月たたないうちに、その家の全員が知るようになった。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP