浪々を選びて候
永禄十年、日根野弘就三十七歳。美濃斎藤家で勇将として聞こえていたが、主家が織田信長に滅ぼされた。信長に屈することを拒んだ弘就は、一族を連れて関東に下るが、仕える先々で主家が信長に潰されていく。中年になって禄を離れる不安、新しい主君への処世術、家族との葛藤、強大な権力に身をゆだねる喪失感…揺れ動く男の心情を克明に描く。
永禄十年、日根野弘就三十七歳。美濃斎藤家で勇将として聞こえていたが、主家が織田信長に滅ぼされた。信長に屈することを拒んだ弘就は、一族を連れて関東に下るが、仕える先々で主家が信長に潰されていく。中年になって禄を離れる不安、新しい主君への処世術、家族との葛藤、強大な権力に身をゆだねる喪失感…揺れ動く男の心情を克明に描く。