カウンターでゆるり、と時が流れる。「香菜里屋」に今日もまた、事件がひとつ。わだかまっていた謎が、旨いビールと粋な肴で柔らかくほぐされる。
「この街で、オレを待ってくれる人はもう誰もいない」戦場カメラマンを目指すため、恋人・奈津実と別れた螢坂。16年ぶりに戻ってきた有坂祐二は、その近くのビアバー「香菜里屋」に立ち寄ったことで、奈津実の秘められた思いを知ることになる(表題作)。マスター・工藤が、客にまつわる謎を解き明かす第3弾。 2007/09/14 発売