南国太平記(上)
調所笑左衛門の改革策断行で、薩摩藩は財政立て直しに成功した。だが藩主斉興は世子斉彬に家督を譲ろうとしない。洋学好みの斉彬の浪費による財政再崩壊を恐れたのだ。一方、斉興の愛妾お由羅の方は、実子久光への家督継承を画策。その意を受けた兵道家牧仲太郎は、斉彬の子どもたちの呪殺を謀り、斉彬派の軽輩武士は陰謀暴露に奔命する。-藩情一触即発の風雲をはらむ南国藩「お由羅騒動」の顛末。
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薩摩藩相続をめぐって、お由羅一派の意をうけた牧仲太郎の呪詛は、家督を継いだ斉彬のうえに及ぶが、その阻止を謀る仙波小太郎の追及も急である。一方、藩内上士と下士の対立はいよいよ熾烈化し、風雲児益満休之助ら改革派の策動は着々と基礎を固める。-南国薩摩のお家騒動に想を借りて、激動する幕末維新期の様相を、経済、因習、新旧勢力の対立と抗争など、重層的ダイナミズムの中に捉える意欲大作。 1997/04/20 発売