そろそろ旅に
『東海道中膝栗毛』で一世を風靡(ふうび)するのはまだ先のこと。若き日の十返舎一九(じっぺんしゃいっく)、与七郎は平穏な暮らしに満たされず、憑(つ)かれたように旅を繰り返す。駿府から大坂、そして江戸へ。稀代のユーモア作家が心に抱いた暗闇とは何だったのか。意外な結末が深い感動を呼ぶ、直木賞作家渾身の長編小説。
江戸の大ベストセラー『東海道中膝栗毛』作者は、いかにして「道を外れた」のか。
「弥次さん喜多さん」の生みの親、十返舎一九が作家として立つまで。
漫画家しりあがり寿氏、嫉妬! 直木賞作家が贈る“笑って泣ける”時代小説!
『東海道中膝栗毛』で一世を風靡(ふうび)するのはまだ先のこと。若き日の十返舎一九(じっぺんしゃいっく)、与七郎は平穏な暮らしに満たされず、憑(つ)かれたように旅を繰り返す。駿府から大坂、そして江戸へ。稀代のユーモア作家が心に抱いた暗闇とは何だったのか。意外な結末が深い感動を呼ぶ、直木賞作家渾身の長編小説。<解説・しりあがり寿>
いやー、とても一九さんにはかなわない。(略)一九先輩、もしかして『東海道中膝栗毛』の弥次喜多が求めていたのも、そして先輩自身が求めていたのも、「リアル」だったんじゃありませんか? --漫画家 しりあがり寿氏(『真夜中の弥次さん喜多さん』『弥次喜多 in DEEP』作者)--<本書解説より>
東へ西へ
大坂という町
道頓堀の出会い
嵐の前後
打ち壊し
様がわり
異国の香り
それぞれの道
外道の誘惑
婿の座
筆の旅立ち
勝負事の行方
焼けぶとり
二度目の災難
夢の旅立ち
江戸の風
泡の暮らし
二度目の見合い
恩人の餞別
故郷の風
道は惑わず
エピローグ