流域へ(上)
共産党一党独裁が終焉を迎えつつあった一九八九年夏のソ連、在日朝鮮人の小説家・林春洙とルポライター・姜昌鎬は中央アジアを当局の招待で旅している。スターリン体制下の一九三七年、極東沿海州を追われ中央アジアに強制移住させられた「高麗人」たちを訪ねるのが目的である。二人は故国喪失者の哀切の日々を知るー日本語文学として、世界的視野での表現への挑戦が始まる。
共産党一党独裁が終焉を迎えつつあった一九八九年夏のソ連、在日朝鮮人の小説家・林春洙とルポライター・姜昌鎬は中央アジアを当局の招待で旅している。スターリン体制下の一九三七年、極東沿海州を追われ中央アジアに強制移住させられた「高麗人」たちを訪ねるのが目的である。二人は故国喪失者の哀切の日々を知るー日本語文学として、世界的視野での表現への挑戦が始まる。