爆風に曝された大空襲から高度成長を経て現代へー個の記憶が、見も知らぬ他者たちをおのずと招き寄せ、白き“暗淵”より重層的な物語空間が立ちあがる。現代文学を最先端で牽引しつづける著者が、直面した作家的危機を越えて到達した、傑作。