晩年様式集
作家自身を思わせる主人公の長江古義人は、3.11後の動揺が続くなか「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」と題する文章を書きだす。妻、娘、妹の「三人の女たち」からの反論。未曾有の社会的危機と自らの老いへの苦悩。少なくなる時間のなかで次世代に送る謎めいた詩。震災後の厳しい現実から希望を見出す、著者最新にして「最後の小説」。
作家自身を思わせる主人公の長江古義人は、3.11後の動揺が続くなか
「晩年様式集(イン・レイト・スタイル)」と題する文章を書きだす。
妻、娘、妹の「三人の女たち」からの反論。
未曾有の社会的危機と自らの老いへの苦悩。
少なくなる時間のなかで次世代に送る謎めいた詩。
震災後の厳しい現実から希望を見出す、著者最新にして「最後の小説」。
前口上として
余震の続くなかで
三人の女たちによる別の話(一)
空の怪物が降りて来る
三人の女たちによる別の話(二)
アサが動き始める
三人の女たちによる別の話(三)
サンチョ・パンサの灰毛驢馬
三人の女たちによる別の話(四)
カタストロフィー委員会
死んだ者らの影が色濃くなる
「三人の女たち」がもう時はないと言い始める
溺死者を出したプレイ・チキン
魂たちの集まりに自殺者は加われるか?
五十年ぶりの「森のフシギ」の音楽
私は生き直すことができない。しかし私らは生き直すことができる。
解説 未来の扉は開くのだろうか 尾崎真理子