遊廓島心中譚
終盤に至ってすこぶる本格ミステリ的なクライマックスが待ち受けている。この展開には驚いた。--綾辻行人
ミステリでしか描けない夢想とも言える物語だろう。--有栖川有栖
読み進めると、構想のスケールが実に大きく、魅力を感じた。--真保裕一
私たちから言葉を引き出す魅力を十分に持った志の大きい作品。--辻村深月
一番の高評価でした。--貫井徳郎
選考会の議論が楽しかったのは、秘めた魅力に惹かれたからだろう。--東野圭吾
骨太な本格ミステリに挑んでおり、読みごたえがありました。--湊かなえ
第70回江戸川乱歩賞受賞作!
アニバーサリーイヤーに、ミステリ界の新たな歴史を作る期待の新人、満を持して登場!
幕末日本。幼いころから綺麗な石にしか興味のない町娘・伊佐のもとへ、父・繁蔵の訃報が伝えられた。さらに真面目一筋だった木挽き職人の父の遺骸には、横浜・港崎遊廓(通称:遊廓島)の遊女屋・岩亀楼と、そこの遊女と思しき「潮騒」という名の書かれた鑑札が添えられ、挙げ句、父には攘夷派の強盗に与した上に町娘を殺した容疑がかけられていた。伊佐は父の無実と死の真相を確かめるべく、かつての父の弟子・幸正の斡旋で、外国人の妾となって遊廓島に乗り込む。そこで出会ったのは、「遊女殺し」の異名を持つ英国海軍の将校・メイソン。初めはメイソンを恐れていた伊佐だったが、彼の宝石のように美しい目と実直な人柄に惹かれていく。伊佐はメイソンの力を借りながら、次第に事件の真相に近づいていくが……。