小説むすび | 声に出せずに叫んでる

声に出せずに叫んでる

声に出せずに叫んでる

著者

朝霧咲

出版社

講談社

発売日

2025年2月12日 発売

母さんを殺したのは、俺だーー。
許せなかった。自分自身も、父の再婚も、大好きだった音楽も。

高校2年生の羽山陽介は母を亡くした幼少期の記憶に今も囚われていた。
男手一つで育ててくれた父と、突然紹介された父の恋人に懐く無邪気な妹。
あの人が家に来るたび作ってくれるカレーは、母の得意料理だった。

「俺、絶対認めないから」。
気持ちの整理がつかない日々の中、学校で不可解な事件が起こる。
切り刻まれた幼馴染のイヤホン、階段から突き落とされた友達。
突然部活を辞めたエース、誰とも長続きしない人気者、善意の押し売りに苦しむクラスメイトーー。
それぞれの無言の叫びは渦となり、やがて溢れ出していく。

本当は誰かに叱ってほしい。お前を許すと言ってほしい。
誰も本当の意味では分かり合えない、それでも分かり合いたい。
僕たちは、必死にもがいて手を伸ばしている。

デビュー作で青春の「痛み」を暴いた若き才能が掬い上げるのは、
「痛み」の先にある一筋の「救い」。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP