関連小説
『失われた時を求めて』は、日本語訳で1万枚に近い作品である。本書ではそのなかから47の断章を訳出、各断章にはそこに至るあらすじを記し、上下2冊で全体をよく理解できるように構成した。フランスで広く読まれるエクストレ=抄訳の形式である。 1992/06/01 発売
ベル・エポックのパリ社交界を舞台に『私』をめぐる貴族や大ブルジョワの華麗にして隠微な人間模様。男と女の交錯する妖しくも美しい愛の形。 1992/06/01 発売
戦時下のパリ。シャルリュス男爵は、禁断の愛に、夜ごと老残の身を捧げたー作品全体の秘密を解き明かす総決算。 2000/09/25 発売
ノルマンディ海岸バルベック、そこにはじめて赴いたときの語り手の幻滅と発見。「ゲルマントの方」の人物、ヴィルパリジ侯爵夫人やサン=ルー、シャルリュス男爵などが登場してくる。また、画家エルスチールのアトリエを訪ねた語り手は、普通に人が考えている現実とはまるで違った独創的な芸術家の表現する真実に惹かれる。そして画家の紹介で、「花咲く乙女たち」と知合いになり、そのなかのアルベルチーヌに心が傾いてゆく(第二篇第二部・続)。 2006/05/24 発売
語り手の家族は、パリのゲルマント家の館の一角に引越し、「ゲルマントの方」の扉が徐々に開かれる。ラ・ベルマの演ずる『フェードル』観劇のさいに、ゲルマント公爵夫人を見かけた語り手は、プラトニックな愛情を抱くようになり、夫人に近づくため、同じ一族のサン=ルーを訪ねる。やがてヴィルパリジ夫人のサロンでゲルマント公爵夫人を見かけるが、現実の夫人には、彼女の名前を通して思い描いていた神秘的なものを見出すことができない。 2006/08/23 発売
発作を起こした祖母が、まるでうら若い娘のような姿で息を引きとる(第三篇2 第一章)。パリのアパルトマンに、以前とくらべて明らかに変化し成熟したアルベルチーヌが、不意に語り手を訪ねて来る。このころ、語り手は夜会でゲルマント公爵夫人と言葉を交したり、また夕食に招かれたりするようになる。こうして、パリの社交界で最も輝かしい存在に近づいた語り手に、華やかだが滑稽で醜い上流社会の人たちの生態が見えてくる(第三篇2 第二章)。 2006/08/23 発売
シャルリュス男爵と仕立屋ジュピヤンの出会いをきっかけに、同性愛(ソドムの世界)の主題がくっきりと姿をあらわす(第四篇1)。ゲルマント大公夫妻のサロンでの、ソドムの男たちの描写とドレーフュス事件の影。章末の一節「心の間歇」では、祖母を巡る過去が突然に蘇る(第四篇2第一章)。アンベルチーヌとの交際の深まり、そして彼女と女友だちの関係への疑惑。ここから、ゴモラすなわちレズビアンの世界が、徐々に始まってゆく(第四篇2第二章)。 2006/10/23 発売
ヴェルデュラン夫人が、連日のように晩餐会を開いている(第四篇2第2章・続)。語り手は運転手つきの自動車をやとって、アルベルチーヌとバルベック効外を散策する。一方、シャルリュスは、ヴァイオリニストのモレルに会うために、ヴェルデュラン夫妻のサロンの常連になっている(第四篇2第3章)。アルベルチーヌの同性愛への疑惑と嫉妬。彼女を隔離しなければならない。語り手は母親に、アルベルチーヌとの結婚を告げる(第四篇2第四章)。 2006/10/23 発売
マドレーヌを口した瞬間、少年時代の記憶が甦る奇妙な感覚。「私」の成長とともに描き出される、第一次世界大戦前後のフランス社交界の人間模様。それは「私」の失われた時を探し求める長い旅の始まりだった…。独自の時間解釈と記憶に対する見解を提示し、20世紀の文学・哲学概念を変革させた傑作大長編小説を漫画化。 2009/05/28 発売
社交界の寵児スワンと、粋筋の女オデット。追う女/追われる男の立場はいつしか逆転し、男は年下の恋人への猜疑と嫉妬に日夜悶える(スワンの恋)。ジルベルトは二人の娘、幼い「私」はシャンゼリゼで見たこの少女に思慕を捧げる(土地の名ー名)。-二つの恋の回想。 2011/05/17 発売
若者になった「私」はジルベルトへの恋心をつのらせ、彼女の態度に一喜一憂する…。19世紀末パリを舞台に、スワン家に出入りする「私」の心理とスワン家の人びとを緻密に描きつつ、藝術と社会に対する批評を鋭く展開した第二篇第一部「スワン夫人のまわりで」を収録。 2013/03/12 発売
前巻から2年後、「私」は避暑地バルベックで夏を過ごすことになる。個性的な人びととの交流、そして美しい少女たちとの出会い。光あふれるノルマンディの海辺で、「私」の恋は移ろう…。全篇の中でも、ひときわ華やかな印象を与える第二篇第二部「土地の名・土地」を収録。 2016/01/08 発売