隠れ菊(下)
莫大な借金を背負って新しい「花ずみ」を始めた通子。夫を奪いにきた女・多衣と商売の面ではパートナーとなり、複雑な心境のまま世間の荒波に飛びこんでゆく。従業員の裏切り、痴話喧嘩の果ての殺人未遂と、数々の災難におそわれながら、通子は自らの奥に秘めていた花を咲かせてゆくが、突然の政治スキャンダルに飲みこまれ…。女の表も裏も書き尽くした傑作、怒涛のクライマックス。
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浜名湖畔の料亭「花ずみ」。ある日、名女将の後を継いだ旬平から、妻の通子に奇妙な電話が入る。指示された駅で出迎えた初対面の女は、通子に言った。「私、ご主人をいただきにきました」-。取り出した離婚届には紛れもない旬平の署名。こうして、平凡な主婦に甘んじていた通子の闘いは始まった…。愛とビジネス、度胸と意地。女のすべてを描ききり、柴田錬三郎賞を受賞した快作。 1999/03/01 発売