七台目のブガッティ(上)
1944年、大勢の決した北アフリカ戦線で、アメリカ軍報道カメラマンのアラン・エッシャーは、一人のフランス人を救った。彼の名はエリオ・セザール、勇名をはせたカー・レーサーだった。戦後20年たったある日、アランのもとに、懐かしいエリオから1通の手紙が舞い込む。「ぜひ会いたい」ところが、久濶を叙そうと出かけたアランの目のまえで、セザールは何者かにひき殺され、アラン自身もあやうく命を落とすところだった。エリオはなぜ、誰に殺されたのか?アランは亡き友のために、また美しい彼の妻のために、謎を解こうと決心した…。
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エリオ殺害の謎を解こうとするアランに、未亡人となったジルが一つのヒントをくれた。ブガッティ・ロワイヤルがどうとか言っていた、と。ブガッティ見学ツアーに同行したアランは、ホテルのロビーでカール・グレーヴンと名乗る老人にあった。彼はブガッティ・ロワイヤルと、それにまつわる経緯をことこまかに説明してくれた。7台目のブガッティ誕生のとき、謎の失踪をとげたとき、そしてなぜエリオが殺されねばならなかったか。すべてを語りおえたときグレーヴンの手には拳銃が握られていた…。幻の名車ブガッティ・ロワイヤルをめぐる欲望と愛憎。精緻な構成で描くミステリー・ロマンの傑作。 1987/10/16 発売