ゆるぎなき心
《ゆるぎなき心》とは、1984年10月8日、ヴェネツィアにおいて結成された秘密結社の名。その目的は幸福の追求…流れる音楽はモーツァルト…メンバーは作家Sをふくむ男性2人、女性3人。冬のパリ、春のヴェネツィア、夏のレ島を経て秋のパリへ、Sなる作家の一年がめぐる。Sはメンバーの女性たちと快楽を追求しつつ、ただ瞬間だけの愛を生きた過去の女たちの記録『赤い手帳』を読む。一方で、ダンテ『神曲』映画化のシナリオ執筆をひきうけているSと、アメリカのプロデューサーとその代理人、日本人女性らとの交渉がはじまる…。文学の21世紀を先取りする小説。