短夜(みじかよ)
古美術店「故渓」の女主人、氏家蔦代は茶人だった父から受け継いだ確かな眼と気っぷの良さで、同業者からも一目置かれる存在。男に縁がないわけではないのに、独身を通しているのが周囲の人間にとっては不思議だったが、実は深い訳があった。情けを交わした男には決まった不幸が訪れるーそんな数奇な宿命が蔦代にはつきまとっていたのだ。その始まりは、初恋のあの人だった…。
古美術店「故渓」の女主人、氏家蔦代は茶人だった父から受け継いだ確かな眼と気っぷの良さで、同業者からも一目置かれる存在。男に縁がないわけではないのに、独身を通しているのが周囲の人間にとっては不思議だったが、実は深い訳があった。情けを交わした男には決まった不幸が訪れるーそんな数奇な宿命が蔦代にはつきまとっていたのだ。その始まりは、初恋のあの人だった…。