結婚式
〈男はわたしをもてあましながら少しずつ手放そうとしている…こっちから別れてもいいのだ〉恋人を捨てる「マリコの選択」。結婚式の前日ひとりヨットに乗り込み結婚を拒絶した男や、花嫁の過去を知りぬいて披露宴で道化を演じる若い夫の心理を描く「結婚式」。他にハネムーンで倦怠期になる新妻など「結婚」の前後にいる男と女の愛と欲望のくい違いを軽妙に描く短編7編を収録。
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結婚式結婚式
不動産で財を成したサビーノは、親子の情愛を越えた親密な感情を抱く末娘グロリーニャの結婚式を翌日に控えた日、一家のかかりつけ医のカマリーニャからグロリーニャの婚約者テオフィロが、自らの助手を務める若者ゼー・オノリオとキスを交わす現場を目撃したと告げられる。上流中産階級の父親、人生を発見する若者たち、誠実で貞淑な女性たちの背後に隠された計り知れない欲望や悲劇。都会的な洗練のあるボサノヴァが流行する中で若者文化が花開き、行動も価値観も大きく変容していく60年代のブラジルのリオデジャネイロを舞台に、奈落の底に突き落とされそうな都会の現実の中で急速に崩壊しつつある社会と、上流階級の精神的な腐敗を赤裸々に描いた、ブラジル演劇の革新者ネルソン・ロドリゲスによる再評価著しい小説作品。 66年9月に刊行された直後、軍事政権の法務大臣によって「不道徳な内容と下品なことば使い」が非難され、社会秩序を乱すものとして販売が禁止されたが、著者による訴訟を経て、翌67年4月に解禁されたという経緯がある。 2025/02/25 発売