宮本武蔵(八)
生涯に唯ひとりの最高の敵と出会ったーー。出世欲に揺れ、女に惑いながらも己の剣の道を必死に磨き続けてきた武蔵の半生。憎まれ、救われ、教わり、愛した数多の記憶を胸に、お通と思いを確かめ合ったのは因縁の相手・佐々木小次郎との決戦間際だった。向かう先に待ち受けるは勝利か、死の府かーー。人々の祈りを乗せていざ、船島へ! 思索と感動に満ちた圧巻の結末がここに。最高にシビれる歴史ロマン落涙必至の最終巻。
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野に伏す獣の野性をもって孤剣を磨いた武蔵が、剣の精進、魂の求道を通して、鏡のように澄明な境地へと悟達してゆく道程を描く、畢生の代表作。-若い功名心に燃えて関ケ原の合戦にのぞんだ武蔵と又八は、敗軍の兵として落ちのびる途中、お甲・朱実母子の世話になる。それから1年、又八の母お杉と許嫁のお通が、二人の安否を気づかっている郷里の作州宮本村へ、武蔵は一人で帰ってきた。 1989/11/01 発売
沢庵のあたたかい計らいで、武蔵は剣の修行に専念することを得た。可憐なお通を突き放してまで、彼が求めた剣の道とは…。だが、京畿に剣名高い吉岡一門の腐敗ぶり。大和の宝蔵院で味わった敗北感、剣の王城を自負する柳生の庄で身に沁みた挫折感。武蔵の行く手は厳しさを増す。一方、又八は堕ちてしまい、偶然手に入れた印可目録から、佐々木小次郎を名乗ったりする。 1989/11/01 発売
今や、武蔵は吉岡一門の敵である。清十郎の弟・伝七郎が武蔵に叩きつけた果し状!雪の舞い、血の散る蓮華王院…。つづいて吉岡一門をあげての第二の遺恨試合。一乗寺下り松に吉岡門下の精鋭70余人がどっと一人の武蔵を襲うー。 1989/12/05 発売
吉岡一門との決闘を切り抜けたことは、武蔵に多大の自信とそれ以上の自省を与えた。そしてまた、大勝負の後に訪れたゆくりなき邂逅。-それはお通であり、又八であり、お杉婆であった。その人々が、今後の武蔵の運命を微妙に織りなしてゆく。山ならば三合目を過ぎ、いま武蔵の行く木曾路、遥かな剣聖を思い、お通を案じる道中は風を孕み、四合目の急坂にかかる。 1989/12/05 発売
長い遍歴をともに重ねてきた城太郎は、木曽路でぷっつり消息を絶ち、武蔵は、下総の法典ケ原で未懇の荒野を開拓しはじめた。恃むべき剣を捨て、鍬を持った武蔵!これこそ一乗寺以後の武蔵の変身である。相手は不毛の土地であり、無情の風雨であり、自然の暴威であった。-その頃、小次郎は江戸に在って小幡一門と血と血で争い、武蔵の“美しい落し物”も、江戸の巷に身を奇せていた。 1989/12/26 発売
わが国の新聞小説で「宮本武蔵」ほど反響を呼んだ小説はないであろう。その一回一回に、日本中が一喜一憂し、読者は武蔵とともに剣を振い、お通とともに泣いたのである。そしていまひとつ気になる存在ー小次郎の剣に磨きがかかればかかるほど、読者は焦躁する。その小次郎は、いち早く細川家に仕官するという。宿命の敵、武蔵と小次郎の対決のときは、唸りをうって刻まれてゆく。 1989/12/26 発売
当初、二百回ぐらいの約束で新聞連載が開始されたが、作者の意気込み、読者・新聞社の熱望で、五年がかり、千余回の大作に発展した。一度スタートした構成を途中から変えることは至難だが、さすがは新聞小説の名手。ただし、構成は幾変転しようと、巌流島の対決で終局を飾ることは、不動の構想であった。作者が結びの筆をおいたとき、十二貫の痩身は、十貫台にー文字通り、鏤骨の名作。 1989/12/26 発売
槍の宝蔵院を訪ねた武蔵。傲岸な法師・阿巌を瞬殺するも、老僧・日観に「もっと弱くなれ」と諭され、例えようのない敗北感にひしがれる。修行のためと置き去りにしたお通の残像に惑う恋心。さらに、鼻息荒く乗り込んだ小柳生城ではやむなく逃亡することに…。ついに、美少年・佐々木小次郎登場!因縁の歯車が動き出す。渦巻く功名心、恋心、敗北感…腕力満載、疾風怒涛の第二巻。 2013/02/28 発売
自省と克己に励む手負いの武蔵。その行く手には、過去の因縁から深い怨嗟を秘め抱く鎖鎌使いの宍戸梅軒、一門の名を賭けて復讐を誓う吉岡清十郎、そして一門きっての荒くれ者・伝七郎ら難敵が、次々に立ちはだかる!孤独に戦う武蔵をめぐる、お通と朱実の恋の行方はー。他方、小次郎になりすました又八は本物の小次郎と対決!?それぞれの命懸けの想い轟き怨憎哀楽、超回転の第三巻。 2013/03/28 発売
蓮華王院三十三間堂。兄の仇と一門の汚名返上に奮い立つ伝七郎に対峙した武蔵は、一太刀であたりの雪を赤く染め上げた。これにより吉岡方の恨みは頂点に!次なる舞台は、総勢七十余名の待ち受ける一乗寺下り松。圧倒的不利の状況で次々と挑みくる敵を無心に斬り続け、武蔵の肉体が限界を迎えたその時、遂に二刀流が生まれたー。血潮飛び散る苦闘の第四巻。 2013/04/30 発売