ご破算で願いましては
間口二間の小さな店を開いたお瑛は今年十六。両親をなくし、兄の長太郎と立ち上げた「みとや」は三十八文均一の雑貨店だ。ところが能天気な兄が仕入れてくるのは、いわくつきの品物ばかりで…。不気味な守り刀、恋歌が書かれた五枚の不思議な絵皿、なぜか手に入った亡き父の煙草入れ。山ほどの算盤が意外な結末に結びつく表題作をはじめ、色とりどりの人間模様が心に沁みる情味豊かな六編。
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小間物屋を営んでいた両親を永代橋の崩落事故で失ったお瑛。兄と二人、ようやく十六歳の細腕で店を開いたものの、能天気な兄が仕入れてくる困った品々に、てんてこまい。山ほどの数の算盤に、不気味な守り刀、恋歌が書かれた五枚の不思議な絵皿まで…。ふだんは健気で臆病なお瑛も、いざ舟を操れば男顔負けの腕前を発揮する。いわくありげな品々をめぐる謎が、思わぬ人間模様を浮かびあがらせ、いつしか亡き父の秘密まで明らかに。しっかり者の看板娘お瑛と若旦那気質の頼りない兄。凸凹コンビが活躍する下町よろず屋繁盛記。ちょっと切なくて、でも心が晴れやかになる時代小説。 2014/12/18 発売