女のゆめと生命の華やぎを織りあげる芝木文学-。その最後を飾る澄明な短篇集。
夫の恋人と称する若いモデルに対して、冷静にふるまい夫婦の愛情の危機を乗り越える年上の妻の心情「冬の梅」。戦争のさなか、隣家の若い人妻との秘められた青年時代の思いを回想する「十九歳」。やがてこの人生を去っていく老夫婦にとって、最後の秋のヨーロッパ旅行を私小説に仕上げた「ルーアンの木蔭」「ヒースの丘」など、人生の機微を淡々と綴った5編を収める短編遺作集。 1994/12/25 発売