時の過酷な変転のなかで信じられるものは何か-。隅田川界隈の風景を背景に、新旧世代の狭間で生の方向を模索する青年の姿を描く長編小説。
実父と兄が対立する社内抗争に巻き込まれた晴生は、社を去らざるを得なくなるが、老いてなお盛んな実父はさらに晴生をその勢力下にからめとろうとする。奔流に逆らいながらも流されていく彼は、頽廃を秘めた年上の女性新聞記者や一途に思いつめる娘との恋愛に、動揺と安らぎを覚えつつ、老造型作家の世界に強く魅かれていく…。現代をみつめ、生の真実を問いかける、長編青春小説。 1994/12/20 発売