湖の南
13歳で明治維新を、16歳で廃藩置県を、20代で西南戦争を体験し、巡査となった津田三蔵。病いがちの母を案じ、困った兄に悩まされ、妹には櫛や半襟を見立ててやる。不器用で几帳面、ごくまっとうなこの男が、なぜロシア皇太子を襲ったのか。近代化から逸れ、否応なく追いつめられていった一人の男の悲劇を、愛惜をこめて描き出す。
13歳で明治維新を、16歳で廃藩置県を、20代で西南戦争を体験し、巡査となった津田三蔵。病いがちの母を案じ、困った兄に悩まされ、妹には櫛や半襟を見立ててやる。不器用で几帳面、ごくまっとうなこの男が、なぜロシア皇太子を襲ったのか。近代化から逸れ、否応なく追いつめられていった一人の男の悲劇を、愛惜をこめて描き出す。