この世界は、どこまで聴くことができるのか-調律師の郁夫、盗聴を趣味にしているマリコ、音の地図作りに熱中するぼく。都会が潜める声を描く、力作長編。
ぼくは騒音測定の仕事をしている。恋人のフミとは同棲中だけど、最近はキスも拒まれてうまくいってない。それでテレクラ嬢のマリコとよく会っている。見えない音をかたちに表す“音の地図”作りが趣味だ。そんなある日ぼくはふとした盗聴をきっかけにフミを疑い始めてしまったー。聞こえているのに聞き分けられない、愛しているのにつかまえられない。都会に潜む声と恋を追い求める長編。 1999/03/01 発売