半人前の落語家は半人前なりにアタマを抱え、オタオタする。師匠のハッキリしない病状、芸人の勲章と命取りになりそうなキズ。憧れ、夢見て門を叩いたはずが、厚〜い壁にぶちあたり、いまもくすぶっている。談志の高弟が噺家の世界を描く書き下ろし短編、全五篇。
小言、失敗、荷物持ち。憧れ惚れた師匠だもの。ついていきます、どこまでもー。大学の講師を頼まれた師匠についていったキャンパスで、師匠が狙っていた女子大生から好意を寄せられて…(「講師混同」)。病を抱える師匠のお供で雪国へ。高座の翌朝、師匠がいない!?意外な場所で佇む師匠が見つめていたものとは?(「すず女の涙」)。師匠に振り回される若手噺家の悲哀を織り交ぜつつ、師弟の情を描いた短篇五席。 2016/11/07 発売