日本に暮らしながら、フィリピン流の生き方を貫く父。房総半島に染色工房を構え、母の国の伝統に立ち向かう娘。著者がさらに掘り下げた民族と家族、工芸の世界。
房総半島に工房を構える若手女性染色家、レイ・市東・ヴィラセニョール。父から継いだフィリピンの血と母からの日本。鮮烈な色が評価され始めた矢先、父は病身をおして祖国へ帰ると言いだす。何が彼を駆り立てるのか。染色の可能性を探求し、型にはまった「日本らしさ」に挑むレイが、苛酷な家族の歴史を知ったとき選択した道とは。美しく深みのある筆致で女性の闘いを描き出す傑作長編。 2019/10/29 発売