十兵衛店の長屋に、一人の娘が太吉を訪ねてやって来た。料理人だった父親の形見の出刃庖丁を、供養として研いでほしいー快く引き受けた太吉に、かおりと名乗るその娘は、妙なことを口走る。おとっつあんは、殺されたんです…。一力節が冴えわたる傑作時代長編。