武士の身分を捨て、芸の道に生きることを決意した中藤冲也。手すさびの端唄の好評にもあきたらず、新作の浄瑠璃を書き上げて喝采を浴びるが、その成功は後ろ盾の金の力だと冷笑される。ならば、真に人々の心を打つ芸を究めてみせると、江戸での恵まれた暮しを捨て、身重の妻を置いて、浄瑠璃発祥の地、上方をめざすが…。己れの才を恃み、人生を芸に賭けた男の孤独な魂を描く傑作! 2014/10/24 発売